精進料理(オリエンタルヴィーガン)とベジタリアン・ヴィーガン
2023.9.8
9月に入り、朝晩は少し秋めいてきました。
季節は 「白露」
朝夕気温が下がり、朝露が白く光って見える頃です。
空が高く爽やかな過ごしやすい季節がやってきますが、
長く厳しかった夏の暑さで体に疲れが蓄積しています。
また空気が乾燥してきて、気温差も激しくなってくるため、
粘膜が弱り喉の痛みや咳など呼吸器系の症状が出やすくなる季節でもあるのです。
秋は夏の暑さの疲れを癒し、潤す白い食材が体に良いとされています。
れんこん、山芋、大根、梨、冬瓜など旬の白い食材は、喉や鼻の粘膜を強くし、肌の乾燥を防ぎ、肺を潤してくれる効果があるのです。
旬の白い食材、れんこん・山芋・冬瓜を使って精進料理を作ってみました。
「れんこんと山芋の煮物」
「れんこんと山芋団子のあんかけ」
「冬瓜の煮物梅肉添え」
精進料理とは仏教の戒律に基づいた食事で、曹洞宗の開祖、道元禅師が禅宗とともに伝えたとされています。
料理の心得を「典座教訓」に、食事の心得を「赴粥飯法」にまとめ、精進料理の基本が作られました。
精進料理の基本
「使ってはいけない食材」
・動物性の食材。肉・魚介・乳製品・卵など。殺生を禁じているため
・五葷(にんにく・韮・葱・らっきょう・浅葱) 食後も香が残ってしまい煩悩が刺激されるため
「調理をする心構え、三心」
・喜心(作る喜び、もてなす喜びの心で調理する)
・老心(親が我が子を思う気持ちで調理する)
・大心(とらわれや偏りを捨て深く大きな心で調理する)
「食材に対する心と調理方法」
・五味(苦味・酸味・甘味・辛味・塩味)
・五法(生・煮る・焼く・揚げる・蒸す)
・五色(青・黄・赤・白・黒)
・淡味(食材の持ち味を引き立てる薄味)
・食材は余すことなく使う
・手間と工夫を惜しまない
・旬を大切にする
「食べる側の心得」
赴粥飯法の中の五観の偈には次のようなことが書かれています。
・食事ができるまでに多くの人たちの手間と苦労があったことを考え、感謝していただこう
・自分がこの食事をいただくにふさわしい行いをしているか、反省していただこう
・貪り、怒り、妬みの三毒を抑え、正しい心を持っていただこう
・単に空腹を満たすだけでなく、心身ともに養う薬としていただこう
・仏の教えを成しとげるため、理想を持っていただこう
食べることは命と向き合うこと。
「いただきます」という言葉には命をいただくという意味が込められています。
食べたものは体の栄養になるだけではなく心も潤してくれるのです。
食材と作ってくれた人への感謝の気持ち忘れず、丁寧に美味しい秋の味覚をいただきたいですね。
家庭で作る精進料理は昔ながらのお袋の味です。
ここにも五味五法五色が取り入れられています。
1、親皿:玄米と緑豆のお粥
2、汁椀:豆腐とわかめの味噌汁
3、平皿:なすの醤油麹炒め
4、壺椀:山芋とアボガドの山椒の実醤油漬け和え
5、高皿:きゅうりの糠漬けと梅干し
ベジタリアンとヴィーガンとは
精進料理のことをオリエンタルヴィーガンと呼ぶそうですが、
ヴィーガン・ベジタリアンについて簡単にまとめてみました。
「ベジタリアン」
「健全な、新鮮な、生命力に溢れた」との意味のあるラテン語のVegetusと野菜Vegetableをかけた言葉とも言われています。
宗教・健康・環境問題・動物保護など様々な理由から菜食主義を取り入れていることをいい、
その中でも何を食べるかによりタイプが分かれています。
・ヴィーガン
肉・魚介類・乳製品・卵のほか蜂蜜など動物由来のものも食べない。
革製品・ウールなど動物製品も使用しない人もいます。
・オリエンタルヴィーガン
精進料理
・フルータリアン
ヴィーガンよりもより厳格で、収穫してもその植物自体の命に関わらないフルーツやナッツ類を食べる。
・オボ・ベジタリアン
オボは卵の意味で、卵製品は食べるが肉・魚介類・乳製品は食べない。
・ラクト・ベジタリアン
ラクトは乳製品。乳製品は食べるが肉・魚介類・卵は食べない。
・ラクト・オボベジタリアン
卵・乳製品は食べるが肉・魚介類は食べない。
・ペスコ・ベジタリアン
卵・乳製品・魚介類は食べるが肉を食べない。
・ポーヨー・ベジタリアン
卵・乳製品・魚介類・鶏肉は食べるが、四つ足肉は食べない。
・フレキシタリアン(セミ・ベジタリアン)
植物性食品を基本に無理のない範囲で肉を食べることを減らす。
・パートタイムヴィーガン
週一回、朝食のみなど食事の一部にヴィーガン食を行う。
いろいろな考え方があり、様々な食事スタイルがありますが、
基本は食べることに感謝するということ。
そして、違った考えや違った習慣も受け入れられる、
広い心を持つことが大切なのだと思います。