スパイスの効能2 和食編
2023.6.5
新緑の木々がより一層濃さを増して、雨の雫が紫陽花の花を艶やかに美しく引き立てる、
梅雨の季節がやってきました。
じめじめと湿度が高く蒸し暑く、マイナスなイメージが強い梅雨時期ですが、
雨に濡れたしっとりと奥行き深い景色を楽しむのも、この季節の日本ならではですね。
6月に入り二十四節気では芒種。
二十四節気とは太陽の動きをもとに一年を二十四等分して、
その季節の天候や生き物の様子を表す名前を付けたもので、
農作業などの目安に使われてきたものです。
二十四節気のひとつの気をさらに三等分して一年を72等分したものを七十二侯と言います。
これからの季節、芒種の七十二候は
・蟷螂生:かまきりしょうず(カマキリが生まれる頃)
・腐草為蛍:くされたるくさほたるとなる(蛍が飛び交うころ頃)
・梅子黄:うめのみきばむ(梅の実が黄色く色づく頃)
の三つに分けられます。
四季折々の変化を楽しめる日本の美しい言葉ですね。
しかし、最近では地球温暖化の影響もあり、気候の変化が乱れつつあります。
ゲリラ豪雨や熱波、干ばつなど、地球規模で気候変動による被害が出ています。
私たちは地球を守るために色々と見直していかなくてはいけないのだと思います。
プラントベースやホールフーズの食事を通して自分の体と同じように森や川や海の健康を考えて、
食品のロスを減らして温暖化を食い止めていかなくてはいけないと思います。
湿度の高い梅雨は、食欲が落ちたり、食中毒にも気をつけなくてはいけない季節でもあります。
そんな梅雨を乗り切るのに日本のスパイス・香辛料「薬味」が活躍します。
食欲がない時にもつるんと喉を通るお蕎麦やそうめんに添える、わさびやねぎ、
蒸し暑い日に食べたくなる冷奴に、生姜やみょうが、など、名脇役的存在の薬味は、
あっさりとした料理をキリッと引き締め、
香りや風味、季節の彩りを添え、
食欲増進効果、毒消しや防腐効果、消化を助ける効果もあるのです。
薬味は東洋医学では生薬の味のことで、
五つの味、
「酸味」「苦味」「甘味」「辛味」「鹹味(塩辛い味)」
があり、
口から入った食べ物は味の違いによってそれぞれ違う臓器に働くと言われています。
季節や体調の変化、体質よって摂り方を変えて食養生していくのです。
日本では古くは古事記に神武天皇御製(天皇様がお詠みになられた和歌)
「みつみつし 久米の子等が 垣下に 植ゑし椒(はじかみ)口疼く 我は忘れじ 撃ちてしやまむ」
(勇ましい久米の者どもの 陣営の垣の下に植えた山椒ではないが 口が疼くほどの恨みを我は忘れぬぞ 討ち取らずにおくものか)
の中で山椒が初めて登場します。
縄文時代の遺跡からも山椒の化石が出ているそうです。
今の季節が旬の山椒の実は佃煮や醤油漬けなどにして保存食としても重宝します。
四季折々の旬の食材を楽しむという食文化を大切にしたいですね。
そして、古くから使われている日本の香辛料の可能性をもっと引き出していき
和の食文化を家庭単位で守っていくことは、環境にも優しい暮らし方なのだと思います。