梅仕事

2023.6.12

梅雨入りし雨の日が多くなってきました。
季節外れの台風が接近したり、線状降水帯の発生で局地的に大雨が続いたり心配な季節でもありますが、
雨粒をのせた緑の葉っぱが可愛らしく心を和ませてくれます。

梅雨という言葉に梅の文字が使われているように、
この季節は昔から梅仕事の季節なのです。
梅仕事とは、梅の実が旬を迎える梅雨の時期に梅を使った保存食を作ることです。
季節感のない食事が増えてきている近年ですが、
せっかく四季のある日本で季節の食材が手に入るのですから、
この時期にしかできない梅仕事を満喫しましょう。


青くてまだ硬い青梅は梅酒や梅シロップ、梅肉エキスに。
黄色く色づいてきた完熟梅は梅干しに。
甘い香りで少し赤みもさした超完熟梅は梅ジャムやコンポートなどのお菓子に。
梅の熟成具合によっていろいろな楽しみ方があります。
梅の熟成具合はその年の気候によっても、地域の差や梅の木ひとつひとつでも違いがあるので、
注意深く観察して時期を逃さないようにしています。
またお店によっても入荷した梅の種類の違いなどで熟成度もまちまちなので、
数軒八百屋さんを回れば1日で青梅と完熟梅、両方を入手することもできます。
お庭に梅の木がある方は収穫が楽しみですね。
また収穫した青梅を追熟させることもできます。

これから梅仕事を始めてみようと思っている方に、
簡単にできる梅を使った保存食と、知っておくと役に立つことをご紹介させていただきます。

・保存容器の消毒
梅仕事に限らず、保存食を作るときは保存する容器を殺菌消毒しておくことが大切です。
煮沸消毒の場合はガラス瓶は水から沸かしていくと割れにくいです。
他にもホワイトリカーなどアルコール度の高いお酒を吹きかけて消毒、
両方ともやっておくと安心です。

・梅酒
青梅を洗ってよく水気を拭き取り、ヘタを竹串などで取り、
殺菌消毒した清潔な保存瓶に氷砂糖と梅を交互に入れて、
アルコール度数の高い、ホワイトリカー・ウォッカ・ブランデーなど好みのお酒を入れる。
日に当たらないよう冷暗所で保管する。
時々瓶を揺すって中身を混ぜてあげてください。
3ヶ月後ぐらいから飲めますが、1年寝かせると濃厚な味わいになるので、
来年の梅仕事まで保存しておいてはいかがでしょうか。
これは去年漬けた梅酒です。琥珀色に熟成されています。

・梅の醤油漬け
青梅を洗ってよく水気を拭き取り、ヘタを竹串などで取り(梅酒作りと同じです)
殺菌消毒した清潔な保存瓶に梅を入れてお醤油を注ぐ。
冷蔵庫には入れず、冷暗所で保存。2ヶ月後ぐらいから使えます。
梅の酸味が出て、酢の物やドレッシング、冷奴にそのままかけても美味しいです。
漬かった梅も刻んで和え物にしたりおにぎりの具にしたり使えます。

・梅シロップ
お子様にもお酒が飲めない方にもおすすめなのはシロップです。
これも梅酒や醤油漬けと同様に梅を洗いヘタを取り、梅に数カ所竹串を刺し穴を開ける。
もしくは一晩、梅を冷凍しておく。
殺菌消毒した清潔な保存瓶に梅と砂糖(私はきび糖や和三盆を使います)を交互に入れ
蓋をして冷暗所で保管。
時々蓋を緩めて空気抜きをし、瓶を揺すってシロップを全体にいきわたらせる。

・梅のはちみつ漬け
これはシロップ漬けの砂糖をはちみつに置き換えるだけです。

他にも青梅を使った梅仕事は梅エキスや味噌漬け、塩麹漬けなどいろいろあります。
青梅のあく抜きはした方が良いのか、しなくて良いのか、意見が分かれるところですね。
レシピによく「一晩水に浸けてあく抜きをする」とありますが、
少しでも黄味を帯びているものはあく抜きの必要はありません。
青くて硬い梅でも1〜2時間程度、短めに、または梅の様子を見ながら追熟させても良いと思います。

梅干し作りには完熟梅を使います。
簡単なのですが、土用干しまでの間の梅雨時期をカビを防いで熟成させるのがポイントです。

「梅はその日の難逃れ」「梅は三毒を絶つ」
次回は梅干し作りや、梅の効能や梅にまつわる話をご紹介させていただきます。