スパイスの効能1 カレー編

2023.5.16

ゴールデンウイークを過ぎると、暦の上では夏の始まり、立夏です。
日差しも増して夏の気配が感じられるようになり、新緑の木々が日々その色を深めていきます。
一年のうちで最も過ごしやすく心地よい季節です。暑くなってくると食べたくなるのがスパイスの効いたカレーですね。

カレーは今や日本の国民食とも言われ、
その人気は世界にも通用するものとなり、
2022年の世界の郷土料理ベスト100
「Best Traditional Food in the World」では
日本のカレーが1位に輝きました。
https://www.tasteatlas.com/best
家庭料理の定番でもあり、学校の給食でも人気が高く、
今の季節、キャンプなどアウトドアでもカレーは欠かせませんね。


カレー発祥の地はインドと言われますが、インドや南アジアの国に
日本のカレーのような料理はなく、スパイスを使った煮込み料理やスープにカレーと似た味のものがあり、その起源はインド発祥の医学アーユルヴェーダの食養生にあります。
医食同源の原理であるアーユルヴェーダではスパイスは調味料としてだけではなく、
薬として用いられ、体調に合わせて使い分けられています。

インドの家庭の台所にあるスパイスボックスは薬箱と言われていて、
体調を崩したら医者に診てもらうよりまず先に、スパイスを組み合わせて、
キッチャリーというお粥にしたり、スープやお茶にして養生します。
おふくろの味的なスパイス料理ですが、スパイスの使い方には慣れと知識を要します。
東インド会社によってイギリスにスパイス料理が伝わった時、
難しいスパイスの調合の手間を省くためカレーパウダー(カレー粉)が生まれたのです。
日本へは幕末から明治にかけて、
カレーパウダーを使ったイギリス式のカレーが伝わりました。
陸軍幼年学校では毎週土曜日をライスカレーの日と定められたり、
札幌農学校ではクラーク博士によって、
ライスカレーを1日おきに食べることを実施されていました。
そして国産のカレー粉が誕生しカレーの人気が高まり広まっていったのです。

暑くなると食べたくなるカレーの中のスパイスには、
消化促進、健胃作用、食欲増進など夏バテ防止効果と、
発汗作用による体温上昇抑制効果があるので、自然と体が欲するのでしょう。

カレーに使われる主なスパイスには以下のような効能があります。
・ターメリック(ウコン):抗菌作用、肝機能強化、抗酸化作用、消化促進
カレーの鮮やかな黄色を出す
・コリアンダー:消化促進、便秘解消、健胃効果
スパイシーな香りのベース、調和のスパイス
・クミン:滋養強壮、消化促進、解毒、不眠ストレス解消
体を浄化する作用がある
・フェヌグリーク:滋養強壮、食欲促進、解熱
甘い香りがカレーをまろやかにする
・ブラックペッパー:便秘改善、腹痛下痢改善、抗菌、抗酸化作用、防腐
インドでは風邪予防にも用いる
・赤唐辛子(チリ):血行促進、食欲促進、新陳代謝を上げる
品種ごとに辛さ、風味が異なる
・マスタードシード:消化促進、血行促進、抗菌、去痰
香ばしい風味
・カルダモン:疲労回復、整腸作用、精神安定
爽やかな香りでスパイスの女王と言われる
・クローブ:利尿作用、整腸作用、鎮痛
インドでは歯が痛い時にも用いられる
・シナモン:殺菌効果、強壮、解熱鎮痛、中性脂肪値改善
甘い香りが特徴で精神不安症状の改善にも用いられる
・カレーリーフ:滋養強壮、食欲増進、消化促進
糖尿病の治療薬としても用いられる

日本のカレーも独自の進化を遂げましたが、
インドでも南北、気候や採れる作物などにより違いがあります。
北インドではチャパティという薄いパンでいただくとろみのあるカレーが特徴で、
南インドでは米食でいただくサラッとしたカレーが主流です。
タイカレーは青唐辛子やプリッキーヌという激辛唐辛子とココナッツミルクを使ったグリーンカレーが有名です。

他にもスリランカ、シンガポール、インドネシア、ネパールなどそれぞれ独自のスタイルのカレーがあるのです。南インドの定食「ミールス」を真似て、スパイスの効いたカレーを作ってみました。

大きなお皿やバナナの葉にバスティマライスと数種類のカレーとおかずを盛り付けるのが特徴です。
カレーは左から、
・ムング豆とそら豆のカレー
・ラッサム(トマトベースの辛いスープ)
・サンバル(ツールダルと野菜のまろやかなカレー、野菜はマッシュルームと人参を入れてみました)
・サグ豆腐カレー(ほうれん草と豆腐のカレー、パニールというチーズを使うサグパニールを真似て豆腐の塩麹漬けで代用しました)
バスティマライスに新玉ねぎのアチャール(酢漬け)、じゃがいもとそら豆のサブジ(スパイス炒め)、キャロットラペ、らっきょうの梅酢漬けを盛り付けてみました。

ホールスパイス、パウダースパイス、最後にオイルで炒めて入れるスパイス(テンパリング)、カレーによっても種類や配合を変えたりで慣れるまでは中々難しいですね。盛り付けを変えてスリランカカレー風にしてみました。


一皿にカレー数種類とお惣菜を盛り付け混ぜていただきます。
特徴はココナッツミルクとトゥナパハという調合したスパイス使うことですが、今回はミールスのカレーと同じものです。部屋中にスパイスの香りが広がり、食欲が増して、元気になります!

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By 堤 晶子